【10/30米国研修5日目】研修3日目

●裁判の傍聴
リッチモンドでの食事
●バーで1杯だけ飲む


本日の研修は、研修先の事務所が担当されている商標案件の裁判の傍聴。
場所は、リッチモンドの第4巡回区連邦控訴裁判所。
http://www.uscourts.gov/uscourts/images/CircuitMap.pdf
U.S. Court of Appeals 4th circuit in Richmond, Virginia

研修先のアレクサンドリアからリッチモンドまでは、車で1時間半。
事務所からバスをチャーターして出かける。朝6時半出発。。。
6時15分から研修先のビルの1階で朝食の提供を始めますよ、
と言われていたので、6時10分にホテルを出て歩く。外は、まだ暗い。

「Hey!」

背後の車から黒人の声が。無視して突き進むと、さらに、

「Hey!」

ひぃぃぃっ。

と思ったら、研修先の事務所の人だった。

研修先の事務所のビルから滞在先のホテルに向けて車を流し、
研修生と思われる人を見つけてはピックアップしてくれているとのこと。

「さっき、もう一人、男性に声をかけたんだけど、無視して行ってしまった。」

その人も、あなたが怖かったんだと思いますよ。。。と、心の中で。

9時前には法廷に到着。各人がセキュリティーチェックの後、入館。
貼り出されている予定を確認。
研修先の事務所担当案件が1件目。他に、2件。合計3件を傍聴の予定。
開廷を待つ間、3件について、研修先の事務所の方から簡単に内容を説明受けた。

 ●1件目:Swatch S.A. vs. Beehive Wholesale L.L.C.
商標「SWATCH」を所有するSwatch社が、Beehive Wholesale 社の商標「SWAP」の登録出願について異議を申し立てた案件。
研修先の事務所が代理しているのは、Beehive Wholesale 社側。
争点となっているのは、1)混同のおそれ(likelihood of confusion)、2)記述的商標であること(descriptive)、および、3)希釈化(dilution)の3点。
特に、当日は、2)記述的商標について、弁論が行われた。
問題となっている商標「SWAP」は、腕時計について使用するもの。被告の腕時計では、特に、文字盤やベルトが入替可能になっている。
Swatch側の主張は、商標「SWAP」は、文字盤やベルトが入替可能な時計についての記述的商標にすぎないというもの。
これに対し、裁判官は、商標「SWAP」は、商品「腕時計(watch)」を記述するものとは考えられないという心証を示していた。
 ●2件目:コカインの使用についての懲役の期間を争った案件
  当時、コカイン使用の最低の懲役期間は10年だった。
  その後、法改正により、最低の懲役期間が5年になった。
  改正後の法律を適用して、刑期を短くすることが求められた。
  オレンジの囚人服を着た被告が現れるかと思ったが、出席したのは代理人のみ。
 ●3件目:一般人に噛みついた犬の情報を教えなかったことによる逮捕の違法性を争った案件
 What fact finding founded by the district court do you challenge?
 地裁でなされた事実認定の中で、どれについて対抗するのか。
 「fact finding」など、朝の輪読でよく出てくるtermである。輪読をやっててよかった…。
 今回の裁判の中で、弁論中に裁判官から原告側の代理人に何回か聞かれていた。
 原告側の代理人は、蝶ネクタイで黒ぶち眼鏡の、典型的なアメリカ人であった。
 ●法廷の様子など
事前に見学者を連れて行くことを裁判所に伝えて頂いていたため、裁判官は3人だったが、審理は、裁判所の中の大法廷で行われた。
裁判官が入廷すると、全員が起立。裁判長の「Have your seats.」との声で着席。
その他、なぜ裁判所を「circuit」と呼ぶか聞いてみたところ、14ある控訴裁判所間で、結構、裁判官の入替があるらしい。その様子が、「circuit」なのだという。
あと、日本で傍聴した裁判では、最後に、裁判官と両代理人が次回期日を決める光景を見たのを思い出して、「次の期日はどうやって決まるのか」を聞いてみた。すると、今回の裁判の弁論は1回で終わり。勝ったら、それで終わり。負けたら、地裁に戻される。とのこと。
ちなみに、3人の裁判官のうち、一人は女性。
研修先の事務所の、本件担当の弁護士のうちサブで就かれていた弁護士も女性。
2件目の国選弁護人(representing the US government)も女性。
同じ事務所からきた女性も、法廷での待ち時間、同じ参加者から英国人に、日本の審査の「特別な技術的特徴(STF)」や、それに関する補正の要件が変更されたことについて、説明し、後で資料を送ると話していた。
すごいなぁ。。。
 その後、Hard Shellというレストランで食事を。
http://thehardshell.com/
 Crabのスープ、肉のサラダ、そして、デザートを。
 私のテーブルは、8人の日本人。そのうち3人は、女性。4種類のデザートを注文し、みんなでシェアした。
 “Key Lime Pie”を初めて食べた。ライムのさわやかさと、ケーキの甘さを堪能。


 往路のバスの車中、私の真後ろの席で、フィンランド人P氏と、英国人参加者が、広範囲の話をされていた。経済のことなど。また、参加者の日本人や中国人についても話をしていた。「Japanese are too polite.」そうだよなぁ。。。寝ようと思っていたが、気になってなかなか眠れなかった。

 帰りのバスでは、私の真後ろの座席に座っていたフィンランド人P氏に、話しかけてみた。P氏は、13歳の双子の娘がいること、2年前にもこの研修に参加されたとのこと。そのときは後半の1週間だけ参加。今回は、前半の1週間だけ参加。これで、フルに参加したことになるよ、と笑っていた。今週の土曜、帰るのかぁ。。。クラスのムードメーカーの一人となっている人なので、非常に惜しい。。。その他、バカな質問だと思ったけれど、フィンランドの地理などを質問した。車中、簡単な地図を描いてもらったり。仕事は、やはり9時−5時とのこと。人と話すたびに、だらだら仕事せずに、プライベートを充実させないと、と思わされる。。。

 事務所に戻った後、日本人で研修先の事務所でトレーニーをされているN氏に、アカデミックな特許法関連の本を紹介していただいた。わざわざ、本の一部をコピーしてくださった。こちらに滞在されている日本人は、みなさん優しい。人にやさしくなれるということは、それだけ大変な思いをされているのだろう。本には、結構な量の書き込みが。努力されている。。。
http://www.amazon.com/gp/product/0314190821/ref=s9_psimh_gw_p14_d0_i1?pf_rd_m=ATVPDKIKX0DER&pf_rd_s=center-2&pf_rd_r=0KDSRX2EVREMVN9H0KSY&pf_rd_t=101&pf_rd_p=1630083502&pf_rd_i=507846

 ホテルに戻った後、近くのキッチン用品屋で、かわいいキッチン用品を仕入れた。
 あと、日本にSkypeしたりなどで、なんやかんやで夜になった。サンドウィッチでも仕入れようと外に出ると、カリフォルニアからの参加者のおじさんB氏に遭遇した。飲みに行こうと誘われたので、subwayでサンドウィッチを食べた後、ホテルのバーへ。
 B氏のHP:http://www.electrictv.com/

 今日、飼い犬が亡くなったこと。22歳のお嬢さんが、今週末から看護婦をするのにシドニーに発つこと、奥様がオーストラリア人であることなどを話してくれた。
 年齢、結婚してるのか、子供がいるのか、を聞かれるのはいいとして、「クジラについてどう思うか」と聞かれたときには驚いた。。。ジャパンバッシングが来るだろうなぁ、と思いつつ、子供のころは、牛肉より安かったのでクジラをよく食べたが、最近は高くなったのであまり食べない。おいしいから好きだと言ってみた。案の定、クジラを獲るなんてダメだ。と強く否定された。。。ただ、ニュースで見てきたことを、実際に感じている人がいるということは、面白かった。
 彼は、60歳だという。
 一番印象に残ったのが、「plan B」を持つよう、勧められたことだ。
 その方は、個人で発明をしながら、フリーで仕事をされているという。今日も、研修先の事務所と、彼の発明について打ち合わせをしていたとのこと。

 ジンライムを1杯飲んだだけだが、朝が早かったからか、すっかり疲れてしまった。
 部屋に戻ってシャワーを浴びたら、すぐに寝てしまった。