正義の行方

米国の不法滞在者についてのお話。


それぞれ別の境遇にある何人かの不法滞在者の話が同時進行していた。


ラッキーな場面とアンラッキーな場面とが、ランダムに現われてきた。ハッピーエンドの人もいたり、悲しい別れを余儀なくされる人もいたり。その結果は、各人のそれまでの生きる姿勢みたいなものに関係しているものもあったり、関係していないものもあったり。チャラチャラしているのにラッキーだったり、あんなにがんばっていたのにこんな仕打ちをなんていうものあったり。

  
運命とは、こういうものかなぁ、と思った。


見ていて気持ちよかったのが、「なぜ、●●は許されて、私はダメなの?」という見苦しいシーンがなかったこと。
たとえば、兄弟の中でも、アメリカで生まれた弟はアメリカ国籍があるが、
外国で生まれたその姉には無く、強制退去となる。彼女が口にするのは、家族と離れる悲しさであって、
弟に米国国籍があって自分には無いことへの恨みつらみが無い。


逆にいえば、こういう類の恨みつらみがある場面というのは、有利な相手に愛情や納得がない場合なだろう。
登場人物は、みんな、自分の運命に、最初こそ狼狽しながら、凛として進んでいった。