第1章-5「法律行為」
法律行為
人がある効果を発生させたいという意思表示に対して、法律がその実現を手助けしてくれるもの
「マンションを買いたい」→売買契約(法律行為)
1)人が何かを望んでおり、
2)その意思を表示すること
法律行為の中心は、「意思表示」
●法律行為の種類
1)単独行為→一人の単独の意思表示のみで構成されるもの
e.g.未成年者の行為の取消、契約の解除
2)契約→対立する二つ以上の意思表示が合致することによって成立
e.g.売買契約(「売りたい」意思と「買いたい」意思)
3)合同行為→数人が同一の目的に向かって行なう意思表示
e.g.社団法人の設立
別の分類→・要式行為(書面作成等の一定のが要式が必要→遺言,婚姻)
・非要式行為(契約の成立には契約書は必要ではない)
●法律行為の解釈
その法律行為の内容は何なのか、有効/無効、をはっきりさせる作業
[基準]
・慣習や社旗の道理や筋道(条理)
・信義誠実の原則
・民法に規定があればそれが当事者の意思であろうと推測して解釈
●公序良俗の関係
⇔強行規定→当事者の意思が違おうとも必ず守らなければならない
(社会に適合しない場合まで私的自治を認めた法律の手助けは不要)
↓
「公序良俗に反する」
●公序良俗違反となる行為の内容
1)人倫に反する行為(愛人関係維持の為の金貸し契約,親子が同居しない契約)
2)正義に反する行為(談合契約)
3)不当な利益を博する行為(人の困窮に付込み不当な高利での金貸し契約)
4)人身の自由を制限する契約(芸娼妓契約など)
●意思表示の流れ
[動機]
↓
[効果意思]この車を買おうという意思
↓
[表示意思]この車を買いたいと言おうという意思
↓
[表示行為]「この車を買いたい」という行為
●意思主義と表示主義(効果意思と表示行為がずれた場合)
[意思主義]法律行為は効果意思があることに基づき法律効果を認める
→意思を尊重し、当事者の意思に応じて意思表示の有効/無効を判断
[表示主義]意思というものは外からは容易には知りえない
→表示に対応した効力を認める方法
●意思表示をした者の意思と表示行為がずれる場合
[意思の欠陥]
・心裡留保(93条)
→本気でないのに本気であるかのようになされた意思表示
e.g.あげる気もないのに「10万円あげる」
[原則]意思表示は有効(表示主義)
[例外]相手方が知ってまたは不注意で気づかなかった場合(有過失)は無効
・通謀虚偽表示(94条)
→相手方と通謀してする虚偽の意思表示(二人でつく嘘)
Aから通謀により土地を譲り受けたBが、登記が自己にあることを利用して、
Cに土地を転売→登記を信じたCに落ち度はない→契約は有効
「自らの虚偽の外観を作出した帰責性のある者は、その外観を信頼して取引した
者に対し外観どおりの責任を負わせ、もって、取引の安全を図るべきである」
・錯誤(95条)
表意者が意思と表示行為の食い違いに気づかずに、表示行為を行なってしまった状態
→食い違いに後から気づく
[原則]無効→ただし、「要素の錯誤」が条件
<要素の錯誤>そのような差億語がなければ表意者のみならず、一般通常人においてもそのような意思表示はしなかったであろうといえる場合
→不注意で勘違いをし表示行為を行なってしまったという落ち度がれば、錯誤無効の主張は認められない(95条但書)
[動機の錯誤]「新幹線が通るのであるから、この土地を買います」
→「新幹線が通らなかった」→動機の錯誤
[瑕疵ある意思表示]
・詐欺(96条)
→欺モウによって人を錯誤に陥れるこ
[詐欺の被害者保護]契約無効ではなく「契約取り消しうる」(96条1項)
→詐欺取消前の第三者が詐欺取消に善意であれあば、第三者に取消主張できず
(96条3項)
・脅迫(96条)
→他人に害意を示し、畏怖の念を生じさせること
[脅迫の被害者保護]取消すことができる(96条1項)
→詐欺と異なり、脅迫取消前の善意の第三者にも取消主張できる
●意思表示の効力発生時期
意思表示=表白→発信→到達→了知
[到達主義]到達時に効力発生(97条1項)
●意思表示の受領能力
無し:未成年,青年被後見人
有り:被保佐人,被補助人
●公示による意思表示(97条の2)
相手方不明または相手方所在不明の場合
[公示の方法]裁判所や市役所の掲示板への掲示、官報・新聞への掲載