「大学で講義を受ける」の巻

この夏、職場から、知財関係の大学での夏期集中講義を受けてくるよう言われた。受講に際し、事前に課題を提出させられた。また、講義のほとんどが英語で行なわれた。課題は、レポートと、英文のライセンス契約書のリバイス。レポートは、午前の講義と午後の講義の中の1科目ずつ、興味を持った理由などを、日文と英文で提出させられた。職場の近くで行なわれるとはいえ、1週間以上職場を明けることになり、レポートなどもあって、その前後は、結構大変だった。

でも、お友達ができたり、学生さんとともに「法律」というものとを勉強させてもらったり、楽しい思いもした。

その思い出として、以下に、8月27日〜9月5日までの個人的な記録を残したい。


●8月27日(月)【記念講演、Welcome party】
今日から約一週間、日本の大学で、知財の夏期集中講義に参加します。台湾の大学生や大学院生さん、メキシコの弁護士さんと一緒に講義を受けます。学生は、60人程度でしょうか。
今日は、夕方からの記念講演と、Welcome party。この講義の「売り」は、英語で講義を行なうことであるらしく、記念講演やWelcome partyも、基本的に英語。日本で英語漬けというのは気恥しい気がするが、受講する学生の大半が台湾の学生さんであるので、うなづける。。。
意外と女性が多い。Welcome partyでは、日本の企業で働きながら大学院に行かれている方、メキシコの弁護士さん、台湾の大学の先生と、お話をしました。いずれも、ステキな女性。
大学の先生は、てっきり法学出身かと思ったら、背景は理系とのこと。アメリカで勉強されて、台湾で教えているとのこと。専門は特許とのこと。日本の特許法でわからないことがあったら質問して下さい、とメルアドを渡したが、答えられるのか。私。
メキシコの弁護士さんに専門の技術分野を聞いたところ、法律が専門で、技術は、他に専門家がいて、チームで仕事をされているとのこと。日本の弁理士とは違うらしい。
講演では、日本や欧米の18世紀あたりからの特許制度の歴史を。自分の知識の狭さを再確認させられる。
明日から、しばらく、知財の英語漬け。またとない機会。大切にしたい。


●8月28日(火)【米国特許法入門、比較特許法入門】
大学での集中講義2日目。米国特許法入門と比較特許法入門。昨年発表された米国特許法の改正の内容などの説明を受けました。また、米国では、連邦法と州法が併存していて、州法は連邦法で規定されていない部分を規定する、など、基本的なレクチャーを受けました。
ちなみに、米国はcase lawの国(判例法主義)なので、Actは法文を指し、lawはcase lawも含めた法律らしい。成文法主義の日本にいると、なかなかつかめない感覚である。
講義中、メキシコの弁護士や台湾の学生さんが、活発に質問をする。その質問が論理的で、圧倒されてしまった。
一緒に講義に派遣された同僚と、念願の学食へ。うどんトンカツ定食。400円。お味は、私には問題なかったが、別メニューの同僚は…年頃の女の子のように、ぐちゃぐちゃしながらのろのろと食べている。仕事では接点がなかった同僚と、学食でワイワイ言いながら、講義では、英語でのテクニカルタームに浸される。なんとも言えず、楽しい。


●8月29日(水)【米国特許法の動向、特許権利行使世界戦略】
今日は、米国の特許法の改正法やら、訴訟実務などの講義を受けました。
毎日通る大学の正門は、中之島公会堂をモチーフにしているようです。ステキです。
あと、昨日、今日と、座席が近かった学生さんに、名刺を渡しました。その方のお名前、次回、聞かなければ。
あと、フィリピンからの、ラニーちゃんと、お友達になりました。
ラニーちゃんは、フィリピンの弁護士さんとのこと。フィリピンにも、メキシコと同じく、弁理士というのはいないらしい。弁護士さんなので、ラニーさん、と言わないといけないか。名刺を持っていないからか、名刺を出した私に、爽やかな笑顔で右手を出してくれました。たくさんの素敵な方にお会いしています。


●8月30日(木)【休校日】
本日は、講義がお休みで、出勤。留学生さんたちは、私が勤務する事務所の見学を含めたexcursion 。仕事をしていると、クラスメートの台湾の方が、マキコ〜と言いながら近寄ってきてくれた。


●8月31日(金)【米国司法訴訟制度、欧州特許制度】
本日は、米国司法訴訟制度と欧州特許制度の講義。講義の合間、同僚が誘ってくれた楽しいランチに出かける。ラニーちゃん、メキシコの三人の弁護士、JICAプログラムの研究員のブラジルの女性。テーブルが男性陣と女性陣に別れる。女性陣テーブルは、なぜか離婚の話。フィリピンでは、離婚のための法律はなく、結婚している女性が浮気をしたら懲役六ヶ月で、でも、妻が浮気の最中の夫を刺し殺しても罪にならないらしい。その後、その妻は、新しい相手と結婚できる。すばらしい!


●9月1日(土)【米国特許判例法、ドイツ特許法
本日も、午前と午後の講義を受ける。米国特許判例法とドイツ特許法。後者の講義は、ドイツ特許法が発明の保護に重きを置いている、という一貫したテーマの下、日本の特許法との対比を交えて、非常に興味深かった。


●9月2日(日)【休校日】
日曜は、さすがにグッタリしたので、一日ゆっくりする。午後から一人になったので、昼ご飯は、近所の焼肉屋さんで、焼肉定食を。
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●9月3日(月)【米国著作権法、比較特許実務】
本日の講義は、米国著作権法と比較特許実務。
米国著作権法の講義は、日本語で行なわれたため、日本語を母国語としない学生はスキップしても良いことになっていた。なので、かなり人数が少なかった。この講義では、アメリカの"hardware shop"と分類される、日本のDIYショップのようなお店で講師の先生が仕入れたという、果物や野菜のおもちゃを使っての説明があった。
比較特許実務では、クレームドラフティングの説明があった。列挙された構成要件「からなる」と記載することとcloseフォームと言い、「を含む」と書くことをopenフォームと言い、後者の方が権利範囲として広い、など、基本的な内容が多かった。ただし、基本的な内容でも知らないことがあったので、その点は、役に立ったと思う。
帰り、ラニーちゃんが大きな本屋さんに行きたいと言ったので、同僚と、梅田の紀伊国屋に案内する。


●9月4日(火)【米国商標法、国際ライセンス】
今日の講義は、米国商標法と、国際ライセンス。
今朝、ラニーちゃんに本屋さんでの収穫を尋ねた。侍の切腹の本を読んだらしく、熱く語ってくれた。この視点が、素敵。
講義二日目に扇子で煽いでいたところを台湾の学生さんから珍しいと言われたので、自宅にあったものを一つ差し上げたところ、今日、お返しにクッキーを頂いてしまいました。
いよいよ、明日で講義も終わります。なんだかさみしいです。
いくつかの講義では、知財について、憲法などの一般法との関わりを交えて、レクチャーを受けました。海外の、熱心な学生さんたちの議論に圧倒されたり、当たり前だと思っていたことが実は深い意味を持っていたり。色々と、考えさせられました。


●9月5日(水)【学生さんのプレゼンテーション、farewell party】
Today is the last day in OIT summer intensive course. 9 teams showed their presentations on the theme that is selected by team members. We listened and asked some questions. It was very hard to raise questions right after hearing a presentation. I could raise a question only one time...... But It's very interesting to know what subject the students at IP area are interested in.
After presentations, the farewell party was held. No alcohol was served at welcome party. But, at farewell party, we could enjoyed beer I could talk and exchange E-mail address. I'll keep touch with them!!


※最終日は、ついに、フィリピンの弁護士さんラニーちゃんとフェイスブック上でお友達になった!「ラニーちゃんも見るかも!」とフェイスブックに書いた英文での日記を載せてみた。