第1章-6「代理」
【代理】法律行為を他人が代わってする制度
→代理人の行なった法律行為の効果は、本人に帰属
●代理制度の存在理由
→私的自治の範囲の拡張
→制限された私的自治の補充(権利能力はあるが私的自治能力を制限される者)
●本人に効果が帰属するための要件
1)代理権があること
2)顕名(本人のためにすることを示す)(99条1項)
●代理の効果
現実に意思表示をするのは代理人
→意思表示の歌詞や善意・悪意の有無は代理人について考える(101条1項)
ただし、甲が丙の嘘を知りながら「代理人は知らなかった」の主張不可(同2項)
●代理人の能力
本人が選べば、未成年者、成年被後見人、被保佐人等の制限能力者でも可
●代理の種類
[法定代理人](e.g.未成年者の親権者)法に定めのある代理人
[任意代理人]任意に選任された代理人。委任契約等の契約による。
[復代理]代理人が自らの名で、本人の代理人を選任。他の者にさらに頼む。
→代理人は、復代理人の行為に責任を負う
・「任意代理」:、本人の承諾又はやむをえない事情が必要(104条)
∵常に本人の承諾を要求すると却って本人の利益に反する場合がある
(復代理人の選任・監督の過失について責任を負う(105条))
「やむをえない事情」本人の承諾を得るひまがない
・「法定代理」:自由に復代理人を選任(106条)
∵もともと誰を代理人にするかについて本人の意思は無関係
(原則、副題離任の過失についてすべて責任を負う(106条))
●代理に似た制度
「使者」本人の決定した効果意思を表示するもの,完成した意思表示を伝達するもの
→効果意思の決定を本人がなす点で、代理と異なる
「代表」法人の機関は法人を代表するもの
→代表機関の行為自体が法人の行為とされる点で、代理と異なる
「間接代理」他人の計算において自分の名で法律行為をなし、
その経済的効果は本人に帰属(e.g.問屋)
「代理占有」他人が物を占有することにより本人が占有権を持っている
→物を占有するという事実状態の問題。
意思表示とは関係ない点で、代理と異なる
●代理権の範囲
【原則】
「任意代理」代理権授与範囲
「法定代理」法定の範囲
【例外】本人の意思を確かめられない等、代理権の範囲が不明確な場合(103条)
1)保存行為→財産の現状を維持する行為(e.g.家屋の修繕)
2)利用行為→物の性質を変えない範囲で財産の使用収益を図る(e.g.賃貸)
3)改良行為→物の性質を変えない範囲で財産の使用価値・交換価値を増加する行為
(e.g.家のトイレを水洗にする)